世代間によるアクセント分布の相違と原語の影響について
竹村 亜紀子 (神戸大学大学院)
日本語における外来語アクセント研究の中で昨今特に注目を集めているのは、語末の音節構造が …LH# (L: 軽音節, H: 重音節) である語に関するものである。本研究は、語末が …LH# という音節構造の外来語に焦点を当て、若年層と高齢層のアクセント分布をそれぞれ調査し、若年層が外来語を Pre-Antepenultimate Accentで発音する割合は高齢層より高く、高齢層が Antepenultimate Accentで発音する割合は若年層よりも高いことを明らかにしようとするものである。
また本研究では、多くの外来語の原語である英語に接する機会の頻度の差から、若年層と高齢層とのアクセント分布の相違が生じているという分析を提示すると共に、原語のアクセント位置の直接的な影響、またはその二次的な影響により若年層における日本語外来語アクセント規則自体が変化しつつあるということを主張する。