満洲語文語の逆接表現
山崎 雅人 (大阪市立大学)
満洲語文語の逆接表現を程度の軽い順から (1) A → A' (2) A → B (3) A →-A に分け、漢語や英語と比較しながら、『満文金瓶梅』の用例を分析した。 (1) banjihangge ambula saikan, damu se majige bahabi,, (器量はとてもよい。ただ歳が些か行っている) (2) geli oilo bayan gese gojime, dorgi untuhun,, (また表は豊かなようだけど、中はからっぽだ) (3) ere okto be omire jakade, nememe dolo nimeme deribufi, umai alime muterakū ohobi,, (この薬を飲んだら〈治るどころか〉、却って腹の中が痛み出して、とても我慢できない)また、これらを組み合わせて表現性を高めることができると考える。 umai doroi jaka benjihekū bime, elemangga sakda-taitai -i wesihun gūnin -i kunduleme bibure be neneme alici ombio,, (贈り物も差し上げなかったのに、逆に奥様からかようなおもてなしを受けるなんて、とんでもありません); si umesi emu sain fulgiyan lo -i adali gojime, damu majige da cinggiya,, (貴女は結構な紅の薄絹の様なご運勢ですが、ただちと尺が足りません)