日本手話におけるアスペクト―語の内在アスペクトと運動形式の関連を中心に―
佐伯 敦也 (東京大学大学院)
手話の手指表現は手指の形、向き、位置、運動により構成される。このうち手指の運動はアスペクトと関連があることが指摘されていたが断片的に記述されたのみだった。本発表では語の内在アスペクトと手指の運動の関連を明らかにすることを目的とした。
まず「アスペクト性」「継続性」という意味特徴をたて、その有無によって表現を3群に分類した。線性アスペクトを有する群、点性アスペクトを有する群、アスペクト性が認められなかった群である。そこでCL的な表現を除き語彙的な表現のみを対象とすると、線性アスペクトは反復性という運動形式上の特徴、点性アスペクトは一回性という運動形式上の特徴と対応することが明らかになった。更に、内在アスペクトのタイプにより派生適用時の意味が異なることをみた。