Way構文における移動の意味―動詞と名詞のクオリア構造の融合
境 倫代 (大阪大学大学院)
本発表では、イディオム的な構文の代表的なものとして扱われる英語のWay構文の意味的特性をPustejovsky(1995)のクオリア構造の枠組みの中で分析し、この構文の意味の中核に見られる「移動」の意味は構成素の語彙意味的な特性から導き出せることを主張する。
Israel (1996)の主張に基づき、Way構文の動詞の基本は3種に別れるという立場を取り、3種の動詞がそれぞれ独自の動機付けで名詞wayと結びつき、それぞれのルートで拡張していったことを論じる。次に、名詞wayは「物理的な経路」の意味だけでなく「移動」の意味も持つというwayの多義性をクオリア構造で表わし、3種の動詞のクオリア構造と合成する。そうすることによって本来未確定であった部分の動詞の意味が確定し、動詞句全体が移動の意味を表わすことになるという結論を導く。