サオ語(台湾中部)における可能表現
新居田 純野(台湾大葉大学)
可能動詞、知識動詞、感情や評価をあらわす語によって、後続する動詞の表す動作の実現の可否が示されることで可能・不可能が、あるいは、シテ焦点形でその動作の可能・不可能が表現されるのがサオ語の可能表現形式である。特に、潜在系可能の下位分類である心情可能は感情を表す動詞で、能力可能は知識動詞で、内的条件可能・外的条件可能は可能動詞で、属性可能は可能動詞および評価を表す語で可能・不可能が表される。また、心情可能、内的条件可能、外的条件可能においては、動作者の意志性の有無によって表現形式が使い分けられる。さらに、能力可能と外的条件可能はその表現形式が異なり、能力可能では知識動詞が、外的条件可能では可能動詞が主に使用されるという特徴がみられた。