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言語類型論的観点から見たアイヌ語の充当
[Ainu Applicative in Typological Perspective]

Anna BUGAEVA(千葉大学文学部ユーラシア言語文化論講座 / 日本学術振興会外国人特別研究員)

アイヌ語には、充当動詞を派生する接頭辞がko-, e-, o-の3つある。統語上、いずれもその動詞の取り得る目的語の数を一個増やす。意味上、各接頭辞がいくつかの様々な格関係を表す。各充当動詞におけるその具体的な意味を完全には予測できないが、基礎動詞の意味クラスによってある程度推定が可能である。

本発表は、アイヌ語に見られる充当の統語的、意味的なタイプの多様性を紹介し、アイヌ語の充当に関する普遍性と特殊性を明らかにすることを目標とする。

アイヌ語の充当には次の類型論的に珍しい特徴があることが明らかになった。

  • 自動詞から派生された充当動詞は他動詞から派生された充当動詞よりかなり多い(e-,ko-,o-の全て)。
  • 非対格自動詞からの充当派生も可能(e-の刺激追加意味タイプ)。
  • 世界の言語の充当に一番よくある受益者という意味役割は多少見られるが、それほど多くはない(ko-について)。
  • e-, ko-で派生される充当の場合、充当構文に対応する非・充当構文が存在しない意味的なタイプが多いので、当動詞の際、当意味役割を表すのに充当接頭辞の使用が唯一の義務的な方法になる。
  • e-充当接頭辞は対象・被動者という中核的な意味役割を追加する機能も持っているので、非使役的他動詞化まで拡張される派生プロセスを指している。
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