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複合動詞の生産性といわゆる「統語的/語彙的」の区別
―コーパスにもとづく考察―

松村 一登(東京大学)

「動詞+動詞」型の複合動詞に2つのグループ (統語的/語彙的)があり,その区別は生産性の度合いに反映しているとする考え方は,「複合動詞の生産性が測定でき,比較できる」ことを前提にし,複合動詞がその生産性の度合いに応じて2つのグループに分かれることを予測していると考えられる。109人の著者のテクストからなる約3000万語の書きことばの資料に基づいて,以下のことを明らかにする。1) 生産性が高い複合動詞の型ほど,属する複合動詞の数が,相対的に多くなる。2) 生産性の低い複合動詞の型ほど,個々の複合動詞の使用頻度が高くなる。3) 生産性の低い複合動詞の型ほど,総体としてテクスト中での使用頻度が高くなる傾向がある。4) 統語的複合動詞の生産性は,一般に,語彙的複合動詞の生産性の値より高いが,その違いは段階的なもので,複合動詞の統語的/語彙的の区別と生産性の高低との直接の呼応を示す決定的な証拠はない。

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