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聴取条件が閉鎖音・摩擦音の知覚しやすさに与える影響について

竹安 大

摩擦音は閉鎖音と比べて聞こえ度が高いとされている。音響的に見ても,閉鎖音では子音調音時間のほとんどが閉鎖区間(無声閉鎖音の場合ほぼ無音)が占められているのに対し,摩擦音(とりわけ粗擦摩擦音(s, zなど))では強い雑音エネルギーを有しており,持続時間も比較的長い。これらのことから,摩擦音は閉鎖音よりも知覚されやすいと予測ができ,実際に知覚実験(Wright 2001)でも摩擦音の方が閉鎖音よりも弁別しやすいという結果が得られている。
これに対して本研究では日本語母語話者を対象に知覚(/t, s, d, z/の弁別)実験を実施し,聴取条件・環境によっては摩擦音が閉鎖音よりも常に知覚されやすいとは言えないことを示す。そして,「閉鎖音は摩擦音よりも無標(Jakobson (1941/68))」という有標性が生じる原因は,知覚的要因によって一部説明できる可能性があることを指摘する。

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