素性照合とそのタイミング
依田 悠介
本発表では現代日本語の軽動詞構文,ガ/ノ可変,与格主語構文における格助詞の一致を中心に観察し,格素性の一致のシステムを分散形態論(Halle and Marantz 1993等)の枠組みにおいて探る事を目的とする。本発表では特に,分散形態論の仮定である(1)と,Pesestkey(1995)らの提案する(2)を援用し,その結果として,(3)を導き出す。
- a. いかなる要素で合っても何かと何かを結合する操作は統語論で行われる。
b. すべての統語構造は派生的に決定される。 - ある素性Fは一致のドメインの内部に入った段階で一致されなければならない。
- a. 格素性は統語計算内部において,一致のドメイン内に入ったすべての段階で一致を受ける。
b. 格素性は統語計算が終了し,形態的に具現化する段階で初めて値が決定される。