韓国語慶尚道方言の外来語アクセント再考
窪薗 晴夫
韓国語慶尚南道方言調査と先行研究データ(慶尚北道,南道)の再分析に基づき,慶尚道方言の外来語に新しい分析(モーラに基づくアクセント分析)を提案し,同時に日本語(東京,近畿方言)との間に無視できない共通性があることを指摘する。
従来の研究では「閉音節で終わる語の大半は最終音節がhigh tone となる」と分析しているが,本研究の調査によると,すべての外来語がlow toneで終わる。このピッチ下降は文中においても同じ位置で起こることから,句音調(boundary tone)ではなく語の音調であることがわかる。この観察をアクセントの立場から捉えると,「語末から2モーラ目にアクセント(核)がある」というアクセント規則を導き出すことができる。この規則は今回収集した外来語アクセントデータ(慶尚南道)と先行研究で論じられている外来語アクセントデータ(慶尚北道,南道)の80%をそれぞれ説明できる。