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日本語の移動動詞の意味変化と継続アスペクト

澤田 淳

本発表では,日本語の移動動詞「来ル」が継続アスペクトのマーカーとして意味変化している事実に注目し,その認知的・機能的特徴を明らかにする。

継続アスペクトの「テクル」は,認知主体の回顧的視点を反映する完了形式として機能している。時制との関係で見た場合,継続アスペクトの「テクル」は,現在完了や未来完了を表すことはできるが(後者の場合,「てきたことになる」という複文構造で示す必要がある),過去完了を表すことは基本的にできない。過去完了(継続)を表す場合,日本語では,「テイル」のタ形「テイタ」で表される(例:3年前まで営業部で働い{ていた/*てきた}。)。また,「テクル」が表す継続は,習慣的継続であるため,ある程度のスパンが必要となる(例:{小さい頃/一年前/一ヶ月前/?二日前/*一時間前/*さっき}から英語の勉強をしてきた。)。同じく継続アスペクトとして機能する「テイル」には,この種の制約はない。

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