アルファベット複合語から見たデンマーク語複合語アクセントと意味制約
三村 竜之
デンマーク語の複合語は原則として前部要素が全体の主強勢を担う。
これまで発表者は,「強意」や「並列」など複合語構成要素間の意味関係から,アクセント規則の例外の説明を試みた。
本発表では,さらにIBMなどアルファベット読みをする略語を含む複合語 (アルファベット複合語) の研究から,「類別・種別」という意味制約,つまり,後部要素が前部要素の種別や類別を表す場合,複合語全体の主強勢は後部要素が担うという制約を新たに提案する。
またこの意味制約が,これまで個別的に例外とされてきた事例をも広く説明し,複合語全般に適用しうる説明力の高いものであることも主張する。
以上からデンマーク語複合語アクセントは,(1)「並列」と「強意」の意味関係では前部要素・後部要素ともに主強勢が現れる,(2)「種別・類別」では後部要素に主強勢が現れる,(3)その他の場合は全て前部要素に主強勢が現れる,と記述することができる。