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等位接続と使役文

壱岐 勝

本発表は,等位接続の観点から日本語のニ使役文の構造を考察し,以下の主張を行った。

  1. 動詞語幹と-saseは,それぞれが投射の主要部(Head)となる要素である。
  2. Causeeに対するニ格は,1つの-saseにつき1回だけ付与することができる。
  3. -saseは,PFにおいて,隣接する動詞語幹に接辞付加する。
この提案は,使役接辞-saseを1つの独立した項目として扱われなければならないことを示しており,(i)動詞語幹と-saseがnumerationの段階で1つの動詞となっているとする分析(cf. 宮川1989)や,(ii)PFにおいて使役の素性[+causative]を持つ動詞語幹がV-saseの形で具現する分析(cf. Halle and Marantz1994)に対する反論である。また本発表での分析を用いると,ヲ使役文,直接/間接受身文などの複合述語文の構造上の違いも明らかにできることも指摘した。

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