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タイ語の機能語hâyの意味変化の方向性

高橋 清子

タイ語の多機能語hây は,「物を与える」という実質的意味を失っていないが,補語標識,使役標識,恩恵標識などの機能語としての生起頻度が高い。本発表では,先行研究において見解が食い違うhâyの補語標識用法と使役標識用法の派生順序について,通時的言語資料を参照しながら実証的に論じる。13世紀末から20世紀に刻まれた石碑文から採集したhâyを含む表現の統語構造と意味文脈の変遷を調べた結果,「使役移動動詞>事態誘発動詞>非現実事態補語標識>間接使役標識」という意味変化の方向性の仮説が導かれた。本発表の目的は,この仮説の妥当性を示し,言語類型論の見地に立つ意味変化(特に文法化と多機能化)の研究に資する新たな資料を提供することである。この仮説の根拠となった石碑文のhây表現の変遷を詳述し,hâyの基本義(人が物を動かす,物を与える)を解説し,先行研究の偏った先入観や事実に反する前提を指摘する。

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