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ラマホロット語の方向表現

長屋 尚典

ラマホロット語(オーストロネシア語族中央マラヨ=ポリネシア語派,東インドネシア)では,人や物の位置について言及するとき,その人や物が山や海などの地理的ランドマークについて話し手から見てどの方向にあるか方向表現で標示する。本発表は,これら方向表現について次の四つの主張をする。第一に,方向表現には二つの軸,すなわち,山から海へ水平に伸びる山-海軸と天から地面に垂直に伸びる天-地軸が関わっている。第二に,方向表現は意味的にも文法的にも閉じたクラスをなす。第三に,方向表現の選択は,単に地理的環境によって機械的に行われるのではなく,話者が地理的環境をどのように解釈するかも反映する。第四に,この言語の空間移動表現では移動がどの方向と関わるか方向表現を用いて表現する。自立移動,使役移動,抽象的放射(松本 準備中)の三種について議論する。

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