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串本方言の動作の継続を衷わす形式
―「ヤル」・「イル」・「ヨク」―

大野 仁美

和歌山県最南端の町の串本町串本には,動作の継続を表わす助動詞が複数存在する。それは,いわゆる“継続態”を表わす形式である「ヤル(=アル)」,意志的な動作の継続を表わす「イル」と「ヨク(=オク)」である。これらの意味特徴を体系的に表示すると以下のようになる。

「ヨク」
継続基準時点における動作の継続意志備え・保持着手
「ヤル」
「イル」±
±±
このように「ヤル」・「イル」・「ヨク」はすべて「動作の継続」を表わす形式であるが,それぞれに対立し合っている。これらの「動作の継続」との関わり方は以下のようにまとめられる。
「ヤル」=継続状態にあることを表わす
「イル」=継続状態へはいることを表わすa
「ヨク」=(ある事柄に備えて)継続状態を保持することを表わす

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