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英語未来表現の現在と未来

沖田 知子

過去・現在・未来という時の区分に対応する三つの時制という考え方は,英語にはなじみにくい。 Jespersen (1031) も指摘するように,動詞の活用形に未来形を持つラテン語やフランス語と違って,英語には直接的に未来を表す文法形式がないからである。しかし,実際には,迂言的な形ながら,未来を表す表現が種種ある。その主なものとして,(1) Will/shall + Infinitive (2) Be going to + Infinitive (3) Simple Present (SF: Simple Futurate) (4) Present Progressive (PF: Progressive Futurate) (5) Will/shall + Progressive Infinitive の五種が挙げられる。
これら五種の未来表現の基本的な意味を比較検討した上で,その相違点を明らかにしたい。その際に,Dowty (1977), Tedeschi (1981) らの主張する,枝分かれ未来意味論モデル (Branching-Futures Semantic Model) の考え方を援用する。これは,過去がすでに具現したために一義的に線条化されるのに対して,予想した状況が未来で実現されるか否かについては,二価的に枝分かれしていくという観点を導入したものである。ただし,本発表では,むしろ現在に立脚して,それと未来の事象への関わり度,どれだけの蓋然性で予断できるのかという点に焦点を置いて考察を進めて行く。現在の発話時点と,計画もしくは取り決めの時点とを分け,その時間的前後関係ならびに拘束度が,それぞれ有意味差となって現われると考えられる。その過程で,未来の助動詞 will/shall と,現在時制の形式をとりながら意味的には未来を示す futurates との違い,すなわち modal か temporal かをも明らかにしていきたい。

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