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ンデベレ語の子音体系と子音クラスター

中川 裕

ンデベレ語(ジンバブエの公用語の一つ・南バントゥー諸語ングニ語群)の子音体系は,クリック子音と非クリック子音を有する。
非クリック子音の子音クラスターには,次にあげるような[鼻音]+[阻害音]が認められる。[mp' nt' ɲtʃ' ŋk' mb nd ɲdʒ ŋg mf ns nɬ mv nz nlʒ] このうち [mp’ nt’ ɲtʃ' ŋk'] は,音韻的には /mph nth ɲtʃh ŋkh / と解釈される。この解釈は次のような形態音論的な交替の現象や,

php'
tht'/ N #____ (N は後続子音と同器管の鼻音)
htʃ'
khk'
次のような音の頻度の現象により支持される。
[p' t' k'] < [mp' nt' ŋk'] < [ph th kh]

また子音体系を不均整にしている破擦音 [ts’ kɬ’] も,上の解釈を採用したうえでクラスターの分布を再分析することにより,それぞれが /s’ ɬ’/ と音韻解釈され,不均整の問題も解決される。
さらに上のクラスター解釈は,クリック子音体系における6つの鼻音クリックの音韻解釈にも応用することができ,クリックの音韻表記をより経済的にするという利点もある。

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