日本語/English
日本言語学会について
入会・各種手続き等
学会誌『言語研究』
研究大会について
学会の諸活動
その他関連情報

Pure Superiority 再考

藤田 耕司

本発表は例 (1) に示される純優位性効果が現在の GB 理論の分析に対して提示する問題点を概観し,これを例 (2) の通常の優位性効果と統一して説明するような原理を提案することを目的とする。
(1) a. who did John expect t to buy what
b. *what did John expect who to buy t
(2) a. who saw what
b. *what did who see
Aoun (1985) に代表される一般化束縛理論や Chomsky (1986, 1987) の障壁理論における ECP は,ともに (1) を説明できないのみばかりか,(2) の説明においても未解決の問題を残すことが論証される。(3) に示す変項に対する演算子束縛原理はこれらの諸問題を統一して解消する。

(3) At LF, a variable is locally bound to its Minimal Accessible operator.
(1a, b) に対応する LF 構造は概略 (4a, b) であるが;
(4) a. [whatj [whoi [... ti ... tj]]]
b. [whoi [whatj [... ti ... tj]]]
(4b) でのみ ti がその MAO である whati に束縛されていないため (3) により排除される,この分析は (2) は勿論,wh 句と数量句の間のスコープの相関関係の問題にも適正に機能する。
発表者の別稿における考察によれば障壁理論においては下接条件は ECP に還元可能であるが,本考察はこのような ECP に基づく下位理論統一の試みの限界を明らかにするものであって,一般化束縛理論に演算子束縛の概念を組み込んだ X 束縛理論が ECP/下接条件の双方を包摂する統一理論として有望であることを示唆している。

プリンタ用画面

このページの先頭へ