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幼児期における形容詞・形容動詞・副詞の発達

益田 孝代

長女なみの言語の記録から,形容詞・形容動詞・副詞(以下,形・形動・副と略)についてその発達を考える。期間は初感が現われた 0: 8 (0歳8ヶ月の略,以下同)より,3: 0 までと 3: 11 の計30ヶ月。
初めて使用されたのは,形「アッチッチ」 (0: 10),形動「じょうず」(0: 8),副「いっぱい」 (1: 3) であった。
用例数(使用頻度)では形が 1: 11 から増加し始めるのに対し,形動は4ヶ月,副は3ヶ月遅れて増え始める。が,種類数では3品詞とも揃って 1: 11 より増え始めている。用例・種類数とも 2: 4 ~ 2: 5 頃極大となり一時減少するが,再び増加し始める。形動の種類数は横ばい。語彙数は満2歳で形24,形動12,副9,満3歳で形75,形動33,副43であった。多出語は形では「いい」「ない」「痛い」「怖い],形動では「いや」「だめ」「こんな」「きらい」,副詞では「もう」「どう」「ちょっと」「まだ」となり,心理面,社会性の発達を裏付ける増減が見られる。
活用形の分化は 1: 7 に形の連用形から始まった。形動は 2: 2。連体形は形動の方が早く 1: 11, 形は 2: 2 に現われる。仮定形は現われず,助動詞「たら」を使って仮定の意を表わす。 2: 8 より使用。未然形も現われず,「―でしょう」の形で代用しているのは 2: 1 より現われている。
擬音語については使用のピークが 2: 2 ~ 2: 5。満3歳までに180種以上使用され,パ行,バ行が43%と圧倒的に多かった。
誤用の内,最も多かったのは,文脈上の誤用と意味上の誤用で,その語の概念を正確に理解していないまま使用するために起こる。特に反対語については初出期にズレがあり,又,反対語というより関連語と理解していることが多いため,この種の誤用が多い。他に,活用の誤用,副詞の呼応に関するもの等があった。

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