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京都方言の名詞アクセントの音韻解釈について

ローレンス・ウェイン

近畿方言のアクセントは長い期間研究されているが,それにもかかわらず,説明されていない問題 (i),気づいていないデータ (ii),ほとんど研究されていない分野 (iii) がまだある。
(i) 最初に着眼する問題はアクセント(核)の分布である。二モーラ,三モーラ語では語末のモーラにアクセントがあらわれるが,なぜそれ以上長い単語にそのアクセント型がないのか。他の言語の分析に利用されている「韻律外」及び「浮遊アクセント」という二つの概念の導入で問題が解決され,穴のないアクセント体系が得られる。
(ii) 東京語では ○○⌉ と交替できる三モーラ単語が若干存在するが,その単語のアクセントは ○○¬ である。従来の分析では,京都語の ⌞○○⌉ が三モーラ単語と交替すれば,そのアクセントとして ⌞○○○⌉ が予測される。しかし実際のアクセントは ⌞○○⌉○ で,これは私の提案する分析の予測するところである。
(iii) 近畿方言の複合名詞のアクセントを扱った研究は少ないが,和田實(1942年)の大阪語を題材にしたものがある。私は京都語を扱っているのだが,大阪語と京都語の複合名詞のアクセント規則が同じだとなれば,そのアクセント規則はむしろ東京語の複合名詞アクセント規則と本質的に同じになる。例外は残るが,その数は和田氏の分析に対する例外より少ないようである。

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