If 節の統語構造
―3種類の if 節と X 理論―
この発表では,if 節が3種類に区別され,X 理論の観点からこれら3つのタイプが,それぞれ V2,V3,V4 に属することを指摘した。そして従来の研究 (Reinhart (1976, 1981, 1983), Haeqeman and Wekker (1984), Haeqeman (1984a, b)) における if 節の分析が不十分であることを示した。
if 節のそれぞれのタイプの代表例は次のようなものである。
(1) a. Divorces are particularly unpleasant if children are involved.
b. Janet will come to the party if you come too.
(2) a. You should study all night, if you have exams tomorrow.
b. If the lava wm come down as far as this, we must evacuate these houses immediately. (Close 1975: 256)
(3) a. If you ask me, she is jealous of Janet's engagement.
b. There's some iced tea in the fridge if you'd care for a cold drink.
(1)-(3) のタイプの条件節は,結語論的に,(a) order, (b) only 等による修飾,(c) 分裂文等による焦点化,(d) wh 疑問文に対する答,(e) VP-deletion, (f) 照応,(g) parasitic gap 等の文法性に関して,それぞれ異なる振舞いをすることを明らかにし,これらのテストにより,(1)-(3) の if 節は次のような統語構造を持つことを示した。
さらに (1)-(3) の if 節は意味論的にも異なっている。(1) の if 節は 'genuine' conditional とも呼ばれ,主節の動詞を直接修飾している。それに対し (2) では,話し手は条件節の内容を「事実」としてとらえている。さらに (3) では,条件節は主節を直接修飾するのではなく,遂行節 (performative clause) を修飾している。
最後に,このような3つの区別は,英語の他の副詞節 (e. g. since-, while- 節)や,日本語の条件節(「~なら」)にも適用できることを示唆した。