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言語の 'configurationality' に関するいくつかの問題点について

吉村 公宏

ワルビリ語に関する Hale (1980, 1981, 1982等) の一連の研究によると,諸言語を類型論的な立場から分析すると,その基底部規則において,きわめて高度な configurationality を有する言語から,non-configurational な言語に到るまで連続的な尺度においてとらえることが可能である,とされている。
我々は,non-configurational な言語の表層にあらわれた統語特徴を列挙することがでぎるが,そのような統語特徴を一定の理論内にくみ入れる際に,いくつかの問題点が生じてくる。語の並べ方について最も重要な規定を行なう X-bar 理論において,こうした non-configurational な言語の表層的統語特徴(たとえば,自由語順や,不連続構成素など)を反映させようとしたのが,Hale の提案した,順序づけされない各要素が横一列に並ぶ 'flat' な基底部規則である。
Non-configurational な言語の表層的文法特徴に適合するようにたてられたこうした基底部規則に従うと,GB 理論内部の問題として,Projection Principle (原理),government (定義),NP-movement (規則)など,各側面においていくつかの不整合が生じてくる。
そこで,こうした理論的不整合を是正するために GB 理論の立場から提出されたいくつかの見方と,類型論の立場から提示されたいくつかの方策とを検討した。
こうした検討をすることによって,類型論から提起された類型論的問題が,一定の理論的立場にたった各議論の中でどのように位置づけられ,解消されているかをとらえることができ,又,そうした検討こそが高次の一般言語理論を導くための糸口を提供してくれる手法であると考えた。

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