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「ダロウカ?」の談話における機能

井上 優

質問としての「(それは)何デスカ?」「(それは)何デショウカ?」「桜デスカ?」「桜デショウカ?]は次の構造を持つ。
(質問者は情報を得たい)
(聞き手にとって,前提命題は……)
(i) 〔何カ〕何デスカ?
(ii) 〔何カダロウ〕何デショウカ?
(iii) (〔何カダ〕)〔桜カ何カ〕桜デスカ
(iv) (〔何カダ〕)〔桜カ何カダロウ〕桜デショウカ
「デスカ?」は疑問文の前提命題が聞き手にとって解決済みの確定された「課題」として提出するが,「デショウカ?」は,前提命題を未解決の不確定な単なる「問題」として提出する。「デスカ?」は解答者の解決を前提にするが,「デショウカ?」はそうではない。
「ダロウ」は「話し手の未解決の問題に対する解答案としての命題を性格づける」という機能を持つ。「ダロウカ?」という疑問文の前提命題は,不確定な前提命題案―未解決の「問題」の設定―としての価値を持つ。一方,「カ」は「談話の一時点において命題内に未定要素を含むことを明示する」という機能を持つ。前提命題と「ダロウ」「カ」の関係は次のように図示される。
「ダロウカ?」は「問題」の設定の仕方により,「自問自答」「問題提示」「クイズ」「婉曲的質問」の4つの用法に大別できる。それは
(i)  自問自答  +自己解決 -質問
(ii) 問題提示  -自己解決 -質問
(iii) ク イ ズ +自己解決 -質問
(iv) 婉曲的質問 -自己解決 +質問
とまとめられよう。
このような広い用法は「問題の提出という「ダロウカ?」の機能による。その「問題」は話し手,聞き手にとって中立的なものとして提示される。

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