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German Expletive ES and Syntactic Parameters

小野 隆啓

Chomsky の GB 理論ては S の head は COMP と仮定され理論が構築されているが次のような統語的媒介変数 (syntactic parameter) を導入するとドイツ語やワルピリ語 (Warlpiri) などの topic-oriented language の数多い興味深い統語現象が説明可能である。

the head of S { COMP
S

S の head を S とみなすと S の head は INFL であるから S も S も INFLの投射範疇という事になり,Chomsky (1981: 166) の C-統御 (c-command) の定義に従えば COMP の位置が governed position になる。するとドイツ語では COMP の位置が empty になるような構文は空範疇の原理 (Empty Category Principle: ECP) で謝除される事になる。従って Move α で S 内の何らかの最大範疇が COMP に移動されなければならない。ドイツ語において次の句構造規則を仮定すると上の事実と共にドイツ語の統語的特徴の最大のものである verb-second の制約に説明が与えられる事になる。
S → INFL⌒NP⌒VP
また同時にドイツ語伝統文法で言われてきたドイツ語平叙文の文頭の位置は主語の位置というよりも話題 (topic) の位置であるという事実とも合う。
この枠組を用いて quasi-argument es と COMP es の2種類の虚辞の es を仮定し前者は何らかの形式で θ-criterion と関係づけられており,また COMP es は COMP の ECP 違反回避方法の一つと仮定するならば,ある場合は es 消去不可能で,別の場合ては義務的に消去されねばならないという一見矛盾したようにみえる統語現象に自然な説明を与える事ができる。
またドイツ語に pro の存在を仮定すると pro は governed position には現われうるが properly governed position には現われないのでドイツ語の会話的表現である Hab schon gesehen. のような文の文法性や *Ich hab schon gesehen. の文のような非文法性をも説明できる事になる。

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