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限界性による「V+かける」構文の分析


張 楚栄

本研究では,「本を読みかけた」のような「V+かける」構文のアスペクト用法に着目し,開始限界と終了限界という概念を用いてその意味を考察する。

先行研究では,「V+かける」のアスペクト用法の意味を「開始前読み」と「途中読み」のように二分化し,「開始前読み」は「動作が行われる寸前」のことを指し,「途中読み」は「動作が途中まで行われた」ことを表すとされている。

本稿では,Vendlerの動詞分類及び「開始限界」と「終了限界」を導入し,「V+かける」は動作・変化の開始または終了限界に達する前の状態を表すとする。開始限界のみ存在する活動動詞は,「開始前読み」の解釈しかできず,到達動詞は開始と終了限界が重なっているため,「開始前読み」しかない。開始限界と終了限界を併せ持つ達成動詞は「開始前読み」と「途中読み」の両方とも可能である。この分析により,従来別々とされてきた「開始前読み」と「途中読み」を同一の意味として捉えることができる。



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