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シダーマ(シダモ)語の関係節の形成のパターン


河内 一博

Sidaama(Sidamo)語(エチオピア中南部のクシ語族の言語)では,関係節の主要部は普通名詞,或いは名詞句を形成する clitic で,関係節の後に起こる。関係節が gapping で形成される場合は,主要部の関係節との文法的関係は,ほぼ Keenan & Comrie(1977)の Noun Phrase Accessibility Hierarchy の上部の文法的関係にある。一方,主要部が関係節の後に起こる,動詞末位型言語は,関係節の形成に pronominal retention を使わないと言われる(例:Comrie & Keenan 1979, Maxwell 1979, Keenan 1985)が,Sidaama語はこの種の言語であるにもかかわらず,主要部の名詞句の指示対象が有生である場合に,関係節をこの方法によっても形成することができる。この言語では,pronominal retention は,(i) 関係節の動詞においての,pronominal object suffix の残留,(ii) 被所有物を表わす関係節内の名詞においての,possessive pronominal suffix の残留,(iii) 接尾辞や clitic を伴って斜格の名詞句または adjunct を形成する,属格の代名詞の残留,の3種類があり,それぞれ Noun Phrase Accessibility Hierarchy の主語より下の一部の文法的関係に使われる。

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