■プログラム(日本語)(PDF版)
■プログラム(英語)(PDF版)
■口頭発表・ポスター発表要旨(PDF版)
■日本言語学会第140回大会ポスター(PDF版)
■保育室設置に関するご案内
第1日 6月19日(土)
口頭発表
* 13:30~17:10 口頭発表
* 17:30~19:30 懇親会
第2日 6月20日(日)
ポスター発表・ワークショップ・公開シンポジウム
* 10:00~11:40 口頭発表・ワークショップ
* 12:00~13:00 ポスター発表
* 13:00~13:30 会員総会
* 13:30~16:30 公開シンポジウム
公開シンポジウムの概要
「数の言語学」
言語の「数(number)」をめぐる問題は、これまで学会などではあまり包括的な議論が行われていないが、通言語的に見て、このテーマは、統語論、形態論、意味論などの複合領域に関わる重要な論点を提供すると考えられる。このシンポジウムでは、「数」を共通項として、それぞれの講師が異なる領域、アプローチ、対象言語からの研究報告を行い、そこから浮かび上がってくる今日的問題を議論する。
講師
高見健一(学習院大学)
水口志乃扶(神戸大学)
切替英雄(北海学園大学)
中西公子(お茶の水女子大学)
司会
砂川有里子(筑波大学)
発表要旨
高見講師
この発表では、英語の可算名詞と不可算名詞(物質(mass)名詞)の違いがどのような基準によって区別されているかをまず考える。そして、可算名詞が〈形〉の上では複数でも、〈意味〉の上では単数なので、動詞が〈単数呼応〉になる例(例えば、[All work and no play]makes/*make Jack a dull boy.)や、逆に、〈意味〉の上では複数でも、〈形〉の上では単数なので、動詞が〈単数呼応〉になる例(例えば、[More than one student] has/*have failed the exam.)を観察する。さらに、このような〈形〉と〈意味〉のミスマッチが、family, audience, crowd のような集合名詞やスポーツチーム名、音楽グループ名、会社名等に関して多く見られることを観察して、英語の数とその呼応に関する〈形〉と〈意味〉のミスマッチがなぜ生じたり、アメリカ英語とイギリス英語がどのように異なるかを考察する。
水口講師
数の指定は、義務的な言語もあれば随意的な言語もある。数の指定がされていない数は、形態的にgeneral number(Corbett 2000) と呼ばれたり、意味的にnumber neutral と呼ばれている。また数の指定は名詞、動詞、冠詞など、言語によって形態的に表れる統語範疇もさまざまである。本発表では数の指定が義務的ではなく、数を指定するにあたって類別詞が必須である数量類別詞言語でのものの数え方を考察することによって、数量類別詞が共起する名詞の「長い」や「薄い」などのような意味範疇を指定するばかりではなく、数える単位(Krifka 1995のObject Unit)も指定する個別化の機能をもっていることを示し、number neutral という概念と「可算・不可算」という概念とは必ずしも一致しないということを示す。さらに英語のように数が義務的な言語に比べてなぜ日本語に量化子が多いかをOU の指定という観点から考察し、類別詞の数体系における機能の本質を探りたい。
切替講師
人類が数の体系に1を組み入れるようになったのは、言いかえれば、1が数であることを発見したのはいつのことであろうか。そしてそれはどのような過程を経てなされたのであろうか。このような問題の立て方は奇異であろうか。「なし」とか「ただ」とか「空(くう)」とか「飛んで」とか言っているうちはまだ0 が数の体系に組み入れられたことにはならない。ある定まった音形ないし文字が「なし」「ただ」「空」「飛んで」などの語句で意図され示され了解されてきた観念に常に対応するようになって、ようやく0 が数であるという発見がなされたと言いえるのである。それとまったく同様に、1 もまた発見される必要があった。0 については単源説が流布している(ただしマヤ文明を築いた人々は0 を独自に発見したらしい)。1については多くの民族がそれぞれに発見したように見える。アイヌ語を研究すると、人類の1の発見に至る一つの過程が見えてくる。
中西講師
複数には、英語のstudent-s のように同じ性質を持つものの集合を表す累加の複数(additive plural)と、日本語の「太郎たち」のように特定の人物とその関連者を表す結合の複数(associative plural)とがある。Chierchia (1998)は、英語のように可算・不可算を区別する言語のみが累加の複数を有するという一般化を提唱している。これによると、日本語のように可算・不可算の区別を表さない言語には累加の複数が存在しないことになる。しかし「学生たち」のように普通名詞に付く「たち」や、「彼女たち」のように三人称の代名詞に付く「たち」は、student-s と同様に累加の複数として機能しているようである。本発表では、Chierchiaの一般化の反例に見える「学生たち」や「彼女たち」のような例においても「たち」は累加ではなく結合の複数であるという立場を取り、「たち」の結合の意味から累加の複数と同じ意味が導き出せることを主張する。
大会までのスケジュール
3月20日(土):発表申し込み締め切り (事務局必着)
* 採否は4月中旬までに通知します。
* 発表申込みにあたっては、大会発表に関する規程・要項を熟読してください。
* 4月26日(月)ごろ:プログラム発表 (学会ウェブページにて)
* 5月6日(木):学会ホームページ及び『言語研究』掲載発表要旨締め切り
* 5月14日(金):予稿集原稿締め切り
発表応募から発表までの流れ
コンテンツ
* 保育室の設置について
■プログラム(英語)(PDF版)
■口頭発表・ポスター発表要旨(PDF版)
■日本言語学会第140回大会ポスター(PDF版)
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第1日 6月19日(土)
口頭発表
* 13:30~17:10 口頭発表
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第2日 6月20日(日)
ポスター発表・ワークショップ・公開シンポジウム
* 10:00~11:40 口頭発表・ワークショップ
* 12:00~13:00 ポスター発表
* 13:00~13:30 会員総会
* 13:30~16:30 公開シンポジウム
公開シンポジウムの概要
「数の言語学」
言語の「数(number)」をめぐる問題は、これまで学会などではあまり包括的な議論が行われていないが、通言語的に見て、このテーマは、統語論、形態論、意味論などの複合領域に関わる重要な論点を提供すると考えられる。このシンポジウムでは、「数」を共通項として、それぞれの講師が異なる領域、アプローチ、対象言語からの研究報告を行い、そこから浮かび上がってくる今日的問題を議論する。
講師
高見健一(学習院大学)
水口志乃扶(神戸大学)
切替英雄(北海学園大学)
中西公子(お茶の水女子大学)
司会
砂川有里子(筑波大学)
発表要旨
高見講師
この発表では、英語の可算名詞と不可算名詞(物質(mass)名詞)の違いがどのような基準によって区別されているかをまず考える。そして、可算名詞が〈形〉の上では複数でも、〈意味〉の上では単数なので、動詞が〈単数呼応〉になる例(例えば、[All work and no play]makes/*make Jack a dull boy.)や、逆に、〈意味〉の上では複数でも、〈形〉の上では単数なので、動詞が〈単数呼応〉になる例(例えば、[More than one student] has/*have failed the exam.)を観察する。さらに、このような〈形〉と〈意味〉のミスマッチが、family, audience, crowd のような集合名詞やスポーツチーム名、音楽グループ名、会社名等に関して多く見られることを観察して、英語の数とその呼応に関する〈形〉と〈意味〉のミスマッチがなぜ生じたり、アメリカ英語とイギリス英語がどのように異なるかを考察する。
水口講師
数の指定は、義務的な言語もあれば随意的な言語もある。数の指定がされていない数は、形態的にgeneral number(Corbett 2000) と呼ばれたり、意味的にnumber neutral と呼ばれている。また数の指定は名詞、動詞、冠詞など、言語によって形態的に表れる統語範疇もさまざまである。本発表では数の指定が義務的ではなく、数を指定するにあたって類別詞が必須である数量類別詞言語でのものの数え方を考察することによって、数量類別詞が共起する名詞の「長い」や「薄い」などのような意味範疇を指定するばかりではなく、数える単位(Krifka 1995のObject Unit)も指定する個別化の機能をもっていることを示し、number neutral という概念と「可算・不可算」という概念とは必ずしも一致しないということを示す。さらに英語のように数が義務的な言語に比べてなぜ日本語に量化子が多いかをOU の指定という観点から考察し、類別詞の数体系における機能の本質を探りたい。
切替講師
人類が数の体系に1を組み入れるようになったのは、言いかえれば、1が数であることを発見したのはいつのことであろうか。そしてそれはどのような過程を経てなされたのであろうか。このような問題の立て方は奇異であろうか。「なし」とか「ただ」とか「空(くう)」とか「飛んで」とか言っているうちはまだ0 が数の体系に組み入れられたことにはならない。ある定まった音形ないし文字が「なし」「ただ」「空」「飛んで」などの語句で意図され示され了解されてきた観念に常に対応するようになって、ようやく0 が数であるという発見がなされたと言いえるのである。それとまったく同様に、1 もまた発見される必要があった。0 については単源説が流布している(ただしマヤ文明を築いた人々は0 を独自に発見したらしい)。1については多くの民族がそれぞれに発見したように見える。アイヌ語を研究すると、人類の1の発見に至る一つの過程が見えてくる。
中西講師
複数には、英語のstudent-s のように同じ性質を持つものの集合を表す累加の複数(additive plural)と、日本語の「太郎たち」のように特定の人物とその関連者を表す結合の複数(associative plural)とがある。Chierchia (1998)は、英語のように可算・不可算を区別する言語のみが累加の複数を有するという一般化を提唱している。これによると、日本語のように可算・不可算の区別を表さない言語には累加の複数が存在しないことになる。しかし「学生たち」のように普通名詞に付く「たち」や、「彼女たち」のように三人称の代名詞に付く「たち」は、student-s と同様に累加の複数として機能しているようである。本発表では、Chierchiaの一般化の反例に見える「学生たち」や「彼女たち」のような例においても「たち」は累加ではなく結合の複数であるという立場を取り、「たち」の結合の意味から累加の複数と同じ意味が導き出せることを主張する。
大会までのスケジュール
3月20日(土):発表申し込み締め切り (事務局必着)
* 採否は4月中旬までに通知します。
* 発表申込みにあたっては、大会発表に関する規程・要項を熟読してください。
* 4月26日(月)ごろ:プログラム発表 (学会ウェブページにて)
* 5月6日(木):学会ホームページ及び『言語研究』掲載発表要旨締め切り
* 5月14日(金):予稿集原稿締め切り
発表応募から発表までの流れ
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