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日本の流行歌における「ら抜き言葉」の使用

大舘 実子(国際基督教大)

「見られる」という可能表現の「ら」の音を抜いて「見れる」にするような「ら抜き言葉」は,五段動詞,カ変にあらわれ,現在は一段動詞の音節が少ないものから多いものに広がっている.本研究は,若者に好まれる流行歌の歌詞は,日常的に使用されるら抜き言葉の状況を反映していると考えて,それを検証した.現代の流行歌の歌詞200曲分を分析し,ら抜きがどの程度の頻度でどのタイプの動詞にあらわれるか調査し,その傾向が日常のら抜きの使用(関東地方出身者に対するアンケート)と一致するかどうかを調べた.一段動詞の長い単語より短い単語において,また一段よりカ変においてら抜きを多く使う点は,仮説通りであり,日常の使用と一致した.しかし流行歌におけるら抜きの頻度は,話し言葉におけるら抜きの使用頻度より低いことがわかり,歌詞の中での可能表現は,単なる日常会話の反映ではなく,保守的な書き言葉としての側面も持っていると思われる.

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