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Reconsideration of Saving Effects in Japanese

上田 由紀子(日本学術振興会特別研究員/神田外語大)

Saito (1992, 1994, 1999), Sohn (1994), Watanabe (1991, 1998) 等の観察してきた付加詞の wh 句を島の制約から救済する救済効果を再考し,以下の3点を主張した.(i) 救済効果は,2つの独立的統語操作の結果と考えるべきである.一つは,Watanabe 1998 のいうところの absorption(操作1).もう一つは,付加詞の wh 句を島の外に出す操作(操作2).(ii) absorption は,ある局所的な環境で,同一視可能な素性間に自由に生じる.従って,この救済効果と呼ばれる現象に関与している素性は,同一視可能な素性が何かによって,その環境ごとに異なる.(ii) に伴い,従来の研究では,救済効果の働かない文を,Saito 1994 の付加位置の理論,及び,Watanabe 1998 のabsorption への条件も含め,上記の操作1に対する原理の違反として扱ってきたが,本発表では,それらは,むしろ上記操作2での違反として扱い,操作1,すなわち,付加操作自体は,かなり自由に生じうることを,救済効果が wh 疑問詞だけでなく,項として働く否定対極表現にも観察されうることを見ることによって主張した.また,(iii) の条件を提案した.(iii) absorption によって生じた complex から素性を取り出す場合は,その attractee は,その absorption に関与した素性でなければならない.この条件提示により,LF 救済効果と scrambling による救済効果 (Sohn 1994) との違いにも統一的説明を与える試みを行った.

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