Way 構文と非能格性
高見 健一(東京都立大)
本発表では,英語の (One's) Way 構文を考察し,この構文の適格性が,文全体の意味と one's way の機能が織りなす機能的現象であることを示した.
まず,この構文には非能格動詞のみ現われ,非対格助詞は現われないとする,Levin and Rappaport Hovav (1995) 等の主張に対し,非能格動詞でも way 構文に現われず,逆に,非対格動詞でも way 構文に現われる場合があることを示し,このような主張が間違いであることを示した.そして,Way 構文は,(i) 物理的,時間的あるいは心理的距離が存在し,(ii) 主語指示物が独自の様態で (iii) その距離全体を徐々に移動し,(iv) 動詞がその移動の様態を表わす場合に適格になる,という機能的制約を提案した.そして,この制約が多くの例を説明できるだけでなく,Jackendoff (1990) や Goldberg (1995) で提案されている意味的制約よりも包括的であることも明らかにした.