スペイン語の混成語形成における韻律的条件
菊池 清一郎(東北大大学院/日本学術振興会特別研究員)
本研究では,スペイン語の混成語における形態素の結合に関する条件を韻律構造の観点から考察し,次の三点を主張した.1. スペイン語の混成語は,左側の原語の左端から2音節韻脚を,右側の原語の右端から2モーラ韻脚を切りとった物を組み合わせることによって形成される.2. スペイン語の混成語の語中では,頭子音を持たない音節は許されない.3. スペイン語の混成語の音節構造は原語の音節構造に依存しており,prosodic identity effect を示すものの,混成語の韻脚構造は原語の韻脚構造に依存せず,prosodic identity effect を示さない.また,本研究では,スペイン語の混成語形成の分析法として,最適性理論の枠組みで韻律的役割に対する忠実性の概念に基づく分析法を示唆した.