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ポライトネスの観点からみたスポーツ実況放送

三宅 和子(東洋大短期大)

日本語のスポーツ実況放送は,アナウンサーと解説者が相互に言葉を交わしながら談話が進むきわめて会話的なもので,欧米の独話的形態とは対照的である.本発表では,テニスの世界大会決勝戦の放送を日本語版と英語版で比較し,日本語の会話的要素(頻繁な話者交替,あいづちの多用,終助詞や疑問文を使っての相手への働きかけなど),および放送進行がアナウンサーから解説者への質問の形式で進むという特徴を指摘した.

この形態では,(1) アナウンサーと解説者が自己の意見,選手の評価,判断などを視聴者に「間接的」に伝えること,および (2) アナウンサーと解説者がそれぞれに相手の持ち楊を侵略することなく「役割分担」をしている点で,FTA (Face Threatening Act) が避けられている.こうしたスポーツ放送の談話スタイルは,日本語話者のポライトネスの指向性を反映したものと考えられる.

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