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古アジア諸語の複合構造の類型

金子 亨(千葉大)

古アジア諸語と言慣わされてきた北東アジアの諸言語には用言複合体の構成法について興味深い類型が見られる.以下,チュクチ語,コリャーク語,イテリメン語,ケット語,ユカギール語,ニヴフ語,アイヌ語,日本語の主方言の用言複合体の構造を以下のように5つの構造パラメータによって3類に分類する.

パラメータチュクチコリャクケットイテリメンアイヌニヴフユカギル日本
I類II類III類
1. Circumfixn
2. Circumfix
3. N-V
4. N-v
5. C/V-Alter
6. SufAggl
但し,Circumfixn: 重層的接周接辞による主範疇の拡張,Circumfix: 非重層的接周辞による用言複合体のマーキング,N-V: 名詞語幹等の用言複合体内部への抱合,N-v: N-V の代替としての出名動詞形の多用,C/V-Altern: 語幹接触部の子音・母音交替によるマーキング,SufAggl: 接尾辞による主範疇の拡張をそれぞれ表す.
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