英語における子音連続と音節構造
山本 武史(京都大大学院)
英語の多音節語の分節 (syllabification) を考える場合,その音節境界は先行音節の coda と後続音節の onset との間に存在すると考えるのが妥当であるが,多くの場合 fa[lk]on, fa[kt]or のように帰属が曖昧な子音連続を母音間に持つ.本発表では英語の子音連続を考えるにあたって,まず,基準となっている単音節語の音節構造を見直し,(1) 従来 coda (+appendix) とされていた末尾の子音連続が,[+sonorant] である nucleus (の一部)と真の coda と [+coronal] である appendix という3つの構成案に分解され,(2) この真の coda が(onset と鏡像関係を成すような構造を持つのではなく) onset と同じ構造を持つことを見る.その上で改めて (3) 上記のような語は fa[l.k]on, fa[k.t]or のような構造素の境界にの場合はそれぞれ nucleus と真の coda の直後)で分節するのが適切で,これが後続音節の onset を最大にする分節法と一致することを確認する.