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うそらしいうそとは何か
―日本人とオーストラリア人のアンケートデータを比較して―

西村 史子(ワイカト大)

本稿では,Coleman & Kay (1981) に倣って質問紙調査を実施し,日本人・豪州人からデータを収集,分析し,以下の結論を得た.

  • 命題内容が偽で,それを真であるように伝えることが「嘘をつく」という発話行為のプロトタイプである.
  • 更に,発話の際の状況や,発話動機によって嘘らしい嘘,嘘らしくない嘘が生じうる.その要因には日・豪共通のものがある.
  • しかし,各文化によって強く働く要因に違いがあり,そのフィルターがかかることによって最終的な判定が下される.その要因の違いがどんな発話を嘘と見なすか,という判定の相違の原因になっていることが予想される.本稿ではそれが日本人の場合,誰の利を意図したものかという点,豪州人の場合,どれだけ真情報が求められているか(或いは状況の深刻度)という点であること,更にそれには段階があることが示唆された.
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