トルコ語における後置詞句のアクセントに関する音響音声学的考察
福盛 貴弘(日本学術振興会特別研究員/筑波大大学院)
本研究は,トルコ語において,音韻論的アクセントがないといわれる後置詞の音声学的アクセントを検証した.トルコ語のストレスは,音響音声学的に高さと強い相関があることが知られており,本研究も基本周波数曲線から,アクセソトパターンを捉えた.
結論は以下の通りである.後置詞が,音韻論的アクセントをもたないというのは,後置詞の最終音節(規則的なアクセントパターンではストレスが来る位置)において,ストレスに伴う高さがないということである.基本周波数は,自然下降したままの形であらわれる.又,「名詞+名詞」と「名詞+後置詞」の句を設定し,両者を対照すると,前者における後続の名詞のストレスはあらわれる場合と句音調に相殺されてあらわれない場合があるが,後置詞はストレスがないため,基本周波数曲線は一定して自然下降に沿った形を示すことが確認できた.