日本語/English
日本言語学会について
入会・各種手続き等
学会誌『言語研究』
研究大会について
学会の諸活動
その他関連情報

Carlson の存在論と tough 構文の解釈について

三木 望(神戸大大学院)

Tough 構文の主語は不定名詞句を許さず (*{A man/Someone} would be easy to kill with a stick like that.),裸複数名詞句の場合は,総称の解釈しか許さない (Men would be easy to kill with a stick like that.).本研究では,裸複数名詞句の主語の解釈を取り扱った Carlson (1977) の存在論の研究をもとに,tough 構文が次のように individual-level に典型的に適用され,その結果不定の解釈ができず,総称と定の解釈しかできないということを主張する.

(1) Men are tough for Mary to please        (individual-level (kind))

(2) John is easy to please.             (individual-level (object))

Tough 構文の述語が individual-level に適用される根拠として individual-level predicate(以下,ILP )の間の平行性を論じる.まず,ILP の裸名詞句は総称の解釈しかないが,同様に tough 構文も総称の解釈しかない.第二に,ILP と同様に tough 構文も there 構文の NP を後ろから修飾することができない.第三に,ILP は知覚動詞の補語にはなれないが,同じく tough 構文も知覚動詞の補語にはなれない.第四の根拠として,ILP と tough 構文の分詞構文は条件の解釈を表すことができない.

tough 構文は,その主語,for-NP 句(不定詞の主語),及び不定詞と共に interactive process を形成する.その interactive process によって表されている個々の出来事を話者が実際に経験しているか,あるいは interactive process から導き出される一般的知識をよりどころに tough 構文は総称化されて,individual-levelへ適用される.

プリンタ用画面

このページの先頭へ