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中距離のソをめぐって

秋月 高太郎(尚絅女学院短期大)

佐久間 (1936) 以来,日本語の指示詞の使い分けは,話し手および聞き手の「なわばり」という概念に基づいた説明がなされてきた.これらの分析では,コは話し手のなわばりを,ソは聞き手のなわばりを,アは話し手・聞き手両者のなわばりの外に属する領域をそれぞれ指すものとされる.しかし,阪田 (1971) などでは,「さほど遠いところではない場所」を指す「中距離のソ」と呼ばれるソの用法が存在することが指摘されている.この用法は,「なわばり」の概念だけでは十分な説明ができず,指示詞の使い分けの説明に「距離」の概念が必要であることを示している.本発表では,このような「中距離のソ」を手がかりに,指示詞の使い分けを,話し手の聞き手に対する配慮行動の一つ(ポライトネス)として説明することを試みる.これにより,ソの用法は,聞き手の消極的なフェイスを最大化するために用いる用法という統一的な説明が可能になる.

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