接続助詞ウチニの再考察 ―認知意味論の観点から―
金 容澤(東北大)
本研究は,コーパスから収集した323個のウチニ構文(S1 うちに S2, S:Sentence)を,意味的特徴から3つのタイプに分け,それぞれ異なるプロトタイプを有する3類型でありながら,家族的類似性によってカテゴリー全体としての統一性があることを説明した.
ウチニ構文を,S1 と S2 の間に時間的前後概念のある I 型と,そうでない II 型に大きく分類した.更に I 型を,「うちに」の後ろに「早く,急いで等」を入れられる「緊迫」型と「早くも」を入れられる「驚き」型に細かく分けた.II 型は,「うちに」の前に,「知らない,気づかない等」を入れられることから「無意識」型とした.
各類型の統語論的な特徴とそのコーパスに現れた頻度を調べ,II 型は I 型より S1 と S2 の動作主が同じ場合が多いことや,S1 の述語は動作が多いことなど,それぞれの類型はプロトタイプ的な特徴を持つことを指摘した.