Locality Conditions on Scrambling and QR
本田 謙介(獨協大/茨城大非常勤)
本発表は Scrambling (Scr) と Quantifier Raising (QR) の局所性 (locality) に関して (1)(2) の疑問を挙げ,Scr と QR が普遍的に従う局所性条件(それぞれ (3)(4))を提出し両言語の統語構造と絡めて統語的な説明を与えた.
(1) 独語は時制節を超える Scr が不可能だが日本語では可能なのは何故か?
(2) 日本語は長距離 Scr が可能だが長距離 QR が不可能なのは何故か?
(3) Locality Condition of Scrambling:
C0 によって C-統御されている XP はその C0 を越えて移動できない.
C0 によって C-統御されている XP はその C0 を越えて移動できない.
(4) Locality Condition of QR: Tensed-S Condition (cf. Chomsky 1973)
次の構造で X と Y を関与させることはできない.X... [α... Y ...] (α=finite TP).独語と日本語の Scr はともに (3) に従う同じ種類の移動現象だが統語構造の相違から長距離 Scr の言語間変異が生じることを示した.最後に Scr と虚辞との相補分布を指摘し Scr の本質について考察した.