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キルギス語の語頭子音 κ について

大崎 紀子(京都大大学院)

キルギス語において,その固有語彙に限って言えば,k は前舌母音とともに,q は後舌母音とともに現れ,対立することはない.キリル文字による正書法の上でも k, q の区別はなく,同じ文字 (k (κ)) が与えられている.発表では,正書法において無声子音 k で始まる語の語頭子音が,実際の発音では,有声音として発音されるという現象について考察した.従来説では,先行する語の語末音の影響により無声の k, q が有声の ɡ, ʁ に交替する現象だとされてきたのに対し,これを単純に同化現象であると考えるのは疑問であるということを主張した.即ち,前舌母音に先行する語頭子音 k が有声の ɡ で実現する場合,本来有声の ɡ がそのまま現れているにすぎず,語頭の無声子音が先行する語の語末音の影響で同化により有声化するのではない.但し,後舌母音に先行する語頭子音 q~ʁ の交替については,従来説と同じく,先行する語の語末音の影響による同化現象であるという結論に達した.

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