完了した動作を表す韓国語 hako issta 形
若生 正和（東北大大学院）
現代韓国語の hako issta 形はアスペクト形式として〈進行相〉，〈結果相〉の意味を表すことが先行研究により指摘されてきた．しかし記述・発言・表現活動を表す動詞の hako issta 形の中には現在時点以前に完了した動作を表しているものが確認される．本研究では日本語シテイル形の〈パーフェクト〉的用法との比較，および先行研究で韓国語の〈パーフェクト〉形式として指摘されている hayssta 形との交替可能性の検証を通して，完了した動作を表す hako issta 形の表す意味を分析した．交替可能性の検証の結果，主語が人間の文の方が無生物主語の文よりも交替容認性が高いこと，無生物主語の文でも主語が動作主性を示す場合は交替容認性が高いことが分かった．これらの要因としては，主語が動作主か否かで動作の具体性が異なり，発話時（＝設定時）以前の時点に動作を完成的に配置できるかどうかの判断が変わるためと考えられる．
