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日本語の数量詞遊離と助詞省略について

加藤 鉱三(信州大)

日本語の数量詞遊離の可能性と助詞省略との可能性は,擬似相互動詞のト格を除いて一致する.また「僕は3人選んだ」のように数量詞は「先行詞」を特に必要とはしない.これらの事実からは次の結論が導かれる.(1) 数量詞は,「先行詞」とは関係なく,動詞の項構造内の項と結びつけることによって解釈される. (2) その解釈メカニズムは,数量詞には現れていない助詞を復元できる場合に発動され,その復元は当該の助詞が省略可能なものである場合に限られる.

擬似相互動詞のト格と「教える」のニ格は共に助詞省略を許さないが,省略できる助詞とこれらの助詞が交替可能であるため,上記の復元は省略可能な助詞を対象として発動される.助詞省略を許さないカラ格からの遊離に見える例が文献に見られるが,それらは「範囲読み」を許すカラ格に限られ,その場合は「学生から3人(ヲ/*カラ)選ぶ」のように数量詞はカラ格からの遊離ではない.

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