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ルーマニア語の se 動詞の意味と用法について
(主語が無生物を表す場合)

磯村 雨月(東京大大学院)

ルーマニア語ではほかのロマンス諸語と同様,再帰動詞が広く用いられる.今回の発表では,主語が無生物を表す文で用いられる再帰動詞について考察するが,これらの再帰動詞は,[再帰代名詞3人称単数あるいは複数 "se" +他動詞]という成り立ちであることから,これらを se 動詞と呼ぶことにする.

本発表の目的は,主語が無生物を表す文で使われるルーマニア語の se 動詞が,時制上の制約のあるタイプ,具体的には現在形と半過去形でしか用いられないタイプと,そういった時制上の制約のないタイプに分かれることを示すことにある.

時制上の制約がないタイプの se 動詞を用いた文では,主語に立ったものが se 動詞を作っている他動詞の表す動作の対象になっておらず,se 動詞は自動詞的に用いられている.こうした se動詞が現在形で使われている文は,主語に立ったものの性質について語る文となることが多い.

一方,se 動詞文の中には複合過去形や未来形で使うことのできないものがある.こうした se 動詞文では,主語に立ったものが se 動詞を作っている他動詞の表す動作の対象になっている.この種の se 動詞は現在形か半過去形で用いられ,一般的事実や傾向について語る文をなす.

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