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最適性理論と子音連続の音節化について

桑本 裕二(東北大大学院)
平野日出征(東北大)

言語には,子音の連続を許す言語と許さない言語がある.子音連続を許さない言語には,その連続を挿入音によって避ける言語と子音削除によって避ける言語がある.本発表では特に,子音削除によって子音連続を解消する手段をもつ言語をとりあげ分析する.子音削除によって,子音連続を避け,音節化を行う場合,最適性理論においては,なぜ制約に違反する入力形から要素が削除された形式が最良の出力形と判断されるのか,どちらかの子音が削除されるが,なぜその子音が削除された形式が最適形とされるのかに関して,現在の制約のみでは明確な説明を与えることは出来ないという問題がある.それを解決するためには,第一に,素性構造の複雑性に基づく Parse (分析制約)と Alignment (配列制約)が必要であること,第二に,Alignment は feature nodes の一致にまで拡張されるべきことを主張し,Parse-Seg,そして,Align-In-Syllable, Align-To-Syllable, Align-To-Stem, Align-Place を下位制約として提案した.これらの提案された制約と最適性理論において基本的音節構造を決定するための基本的制約をrankづけることによって,朝鮮語,英語等の子音を削除された,制約に違反する形式が最適形とされる理由を説明し,子音が削除された出力形が最適であると判断されるのは Parse 制約と Alignment 制約の相互作用によることを明らかにした.また,種々の言語の分析により要素を削除された最適形の実現のために基本的音節構造に関する制約のみが必要な言語,素性構造の情報をもつ Alignment 制約が必要な言語,さらに,素性構造の複雑性に関する情報をもつ Parse 制約が必要な言語があることが示された.

さらに,resyllabification は音節が Onset をもつとき避けられるべきであること,子音削除を説明するために依存音韻論の支配関係の概念は不必要であること,さらに,最適性理論は postlexical な現象の説明にも貢献できることを示唆した.

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