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日本語における無生物主語ニ格受動文の成立条件について―情報構造の観点から―

黄菲菲

本稿は、日本語における無生物主語ニ格受動文の成立条件について情報の流れ、情報の重要度の観点から、無生物主語ニ格受動文の成立条件に統一的な説明を与えようと試みた。

本論では(ⅰ)~(ⅲ)について論じる。(ⅰ)本論ではまず、「無生物主語ニ格受動文では主題である被動者が旧情報を担う場合に多いこと」や「無生物ニ格受動文の左端にある被動者より右端にある文構成素の情報が新しいこと」を論じる。(ⅱ)続いて、従来の定義してきた「情報の重要度」を再考察し、本稿の定義を提示する。つまり、「聞き手にとって最も 「重要度の高い情報」 というのは、聞き手が持っている共有知識や言語文脈、発話状況から予想できない情報、ないし聞き手の予想や期待に反する情報である」ということを論じる。その上、「情報重要度」の概念は無生物主語ニ格受動文の成立にどのような影響を与えているかを明らかにする。(ⅲ)以上の論述に従って、本研究では次の二点が明らかになった。

(1)無生物主語ニ格受動文においては、「動作」 や 「ニ格動作主」のいずれかが被動者より情報の重要度が高ければ高いほど受動文として適格となる度合いが大きい。
(2)「述語動詞」 や 「ニ格名詞句」 は少なくとも一つの要素が必ず無生物主語より情報の重要度が高くなければ、受動文として不適格となる。

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