連体修飾におけるトイウの機能について
金城 由美子(ATR 音声言語コミュニケーション研究所)
本発表では,連体形式トイウの連体修飾節における機能を明らかにし,修飾節の機能,その被修飾名詞との関係について考察することを目的とする.トイウは引用に関わる名詞句を被修飾名詞とする場合は,連体形式として必須の要素とされるが,「全員が救助された{φ/という/との}事実」のように,「事実,話,情報」などの名詞を被修飾名詞とする連体修飾節に現れる場合,任意の要素として介在するとされている.またトイウはトノに交替可能な場合がある.本発表では,「名詞+という+名詞」という名詞句におけるトイウの機能(田窪 1989,丹羽 1993)に基づき,連体修飾におけるゼロ接続と,任意とされるトイウ,トノのような連体形式との関係を,無標形式とモダリティ形式の対立という観点からその意味と機能の違いについて考察し,モダリティ形式が話し手の非直接経験的知識などを表すことを明らかにする.