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「てやる」構文について

加藤 鉱三(信州大)
高見 健一(東京都立大)

「てやる」構文については,(1) のような利益用法に関しての研究は多いが,(2) や (3) のような利益以外の用法についての研究は少ない.
(1) 太郎に本を読んでやる. (利益)
(2) 太郎を困らせてやる. (不利益)
(3) 東大に合格してやるぞ. (意志)
先行研究では「てやる」を GIVE としての「やる」の拡張として捉えるのが普通である.しかしそのような見方では,「やる」は[よいもの]を[与える]のが普通であるから,(2) と(3) の用法は出てこないはずである.本発表では補助動詞「てやる」は GIVE としての本動詞「やる」と関係付けるのみではなく,DO としての本動詞「やる」に関係付けることを提案する.(3) の「てやる」が GIVE に対応するとしたら,なぜ「与える」という意味がないのかが説明されないが,DO の「やる」に対応するとすればそれは当然である.また (2) のような不利益用法では,「てやる」が認可するニ格(この場合 GIVE でなければならない)と本動詞が認可するニ格(DO でもよい)とで容認性に差があることがその根拠となる.

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