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「与格」「対格」「移動格」と 'Transitivity'
―日本語,インドネシア語対照に基づく自/他動詞再考―

湯浅 章子(神戸大大学院)

日本語における自/他動詞の決定に関しては, 'Transitivity' だけでなく,その文が伴っている名詞句が,動詞の示す動作の〈対象〉であるのか(他動詞と共起),あるいは〈場(移動に関わる場,動作が向かう場)〉であるのか(自動詞と共起),という観点が大きく関わっている.

一方,インドネシア語では,その〈場(移動に関わる場)〉の 'delimitation' の度合いや,その〈場(動作が向かう場)〉に対する 'affectedness' の度合いが強まり,'Transitivity' の程度が高まると,'Locative' や 'Dative' は 'Accusative' へと移行し,それに伴って,動詞は自動詞から他動詞へと移行する.このように,インドネシア語における動詞の自/他の決定は,その構文が伴っている名詞句が動作の〈対象〉であるのか,それとも〈場(広義的意味)〉であるのかに関係なく,あくまでも 'Transitivity' に基づいて決定されるものと考えられる.インドネシア語が,日本語の場合よりも規則正しい,他動詞構文と直接受け身文との対応関係を特つのは,これらの要因によるものと考えられる.

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